今回は、『また君と出会う未来のために』について、感想を綴ります。
はじめに
著者は、阿部暁子さんです。「ストロボ・エッジ」、「アオハライド」の原作者で有名な方です。
阿部 暁子は、日本の小説家。岩手県出身、花巻市在住。岩手県立花巻北高等学校卒業。2008年に『いつまでも』で第17回ロマン大賞を受賞しコバルト文庫からデビューする。
出典:阿部暁子 - Wikipedia
あらすじ
仙台の大学に通う爽太は、9歳のころに海で溺れて、目が覚めると2070年にタイムトラベルした経験がある。そこで出会った女性、五鈴を忘れらずにいた。アルバイト先の尾崎から紹介された和希に出会ったことで、爽太はもう一度タイムトラベルを、五鈴に会いに行く決意をします。そこから物語が加速していきます。
『SF』要素満載
タイムトラベルが出てきますので、細々とした世界観としては、『SF』要素満載です。しかし、震災の話も出てきます。どこか現実的な内容にもなっているので、全くの別世界でのお話という印象ということもなく、「ちょっと不思議」な世界観という印象です。
切り離せない『死』
物語の根幹にあるのは、『死』のように感じました。爽太が震災で両親を亡くし、親戚夫婦に引き取られます。そして、その夫婦も爽太と同い年の息子を亡くしています。将来、爽太が死を約束されているかのような暗示。『死』というものを強く感じました。
誰にでも『死』は訪れるものだからこそ、約束された『死』に対しては、強烈な不安を感じるものです。作者の言いたいことは、「死」にあるのかなと思いました。
結末は曖昧
何とも言えない終わり方です。爽太の『死』が約束されている状況での、物語の時間軸でいうと「現在」で終わります。爽太が確定しているであろう「行方不明」は、回避できるのか、分からないままです。
決して、後味の良い終わり方では、ないですが、面白い終わり方です。回避できる未来か、できない未来かは、爽太と五鈴、和希にかかっています。個人的には、和希が一番責任重大のような気がしますが…。
結局、結末は読み手が想像するしかないです。
蛇足的な感想
「また君と出会う未来のために」は、『どこよりも遠い場所にいる君へ』の姉妹編の位置付けなので、こちらもチェックしてみてください。
是非、皆さんも手にお取り下さい。