三流大学、理系学生が読んだ書物を語る

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自分と向き合うお話~青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない~

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 今回は、『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』について、感想を綴ります。(注意:ネタバレあり)
 青春ブタ野郎シリーズの九巻目です。

 

前回までのあらすじ

  高校受験が迫ったある日、妹の花楓が、記憶を戻します。「かえで」がいなくなり、花楓も咲太どこか戸惑います。中3の花楓は、復学して間もなく「進路」を迫られます。花楓が選択した未来は、咲太と同じ高校に行くことでした。そんな難しい選択の背中を押した咲太。そんな中、恋人の麻衣が、県内の国立大学に進学が決まります。咲太も麻衣と同じ大学に行くことを決意するのでした。
 卒業式の当日、七里ヶ浜の海岸で麻衣を待っていた咲太の目の前に、子役時代の麻衣にそっくりな小学生が現れました。

 

自分と向き合うお話

  最初に言いたいことは、今回のお話は咲太が自身と向き合う内容ということです。結論から言って、小学生の麻衣は、咲太自身が作り出した存在でした。イジメで『花楓』が『かえで』になったこと、母親が精神病を患ったこと…。

 

 かえでと藤沢で暮らすようになったことで、咲太は誰よりも頼りになるお兄ちゃんにならざるを得ませんでした。いつの間にか咲太は「お母さん」を諦めていたのでした。その感情が思春期症候群として、周りから認識されなくなるという現象を引き起こしたのでした。

 

突然の出来事

  咲太と花楓がお母さんに会った翌日、思春期症候群が突然発症します。普段通り、登校している時、周りから認識されていないことに気づきます。

 

 心当たりのある咲太は、七里ヶ浜の海岸に向かいました。小学生の麻衣に再び会い、あれよあれよと電車に乗ります。そこで、いつの間にか寝てしまいます。

 

当たり障りのない日常

  目が覚めた世界は、母親とも円滑で、花楓は咲太と同じ高校に入学予定で、麻衣とも付き合っており、可愛い後輩や親友の佑真もいて、本来あるべき日常でした。
 劇的な何かがあるわけでもなく、ただただシアワセな日常でした。咲太は、電話で母親と「会話」をします。話しているうちに、咲太は母親に対して、様々な感情が出てきました。

 

言いたいことはあったのだ。言わなければならないことが……。けれど、それを咲太が伝えるべきなのは、この世界にいる母親に対してではない。

 咲太が元いた世界では、母親とちゃんと向き合う事をしていなかった。それをするために元の世界に戻ることを決めます。

 

 読んでいて思ったのは、電車で寝て、起きたら別世界って「地下鉄に乗って」みたいだなと思いました(笑)

 思春期症候群は、「心」が創り出す現象と解釈すると、咲太は、ずっとどこかで母親を気にかけた生活を過ごしていたと思うと、心が痛みます。

 

大切な人が繋ぐ

  元の世界に戻り、咲太は誰からも認識されていないままです。それでも学校に行き、麻衣が気付いてくれることを待って、日常を過ごします。信じているからこそ、日常を過ごす。咲太がめちゃくちゃ大人に成長しています(笑)


 咲太を見つけて、麻衣がかけた言葉は、グッときました。

「……いつか、ふたりで家族になろう」

 見つけてくれたのは、翔子の時に大活躍したプチデビルな後輩ではなく恋人の麻衣でした。大事な時に助けてくれるのは、大切な人ってことですね。 

 麻衣がくれたのは、今の咲太に必要な言葉だった。

 

 個人的には、プチデビルな後輩が活躍してくるのかなと思ったのですがね…。プチデビルな後輩の可愛い場面が欲しかった(笑)

 

晴れやかな気持ち

  病室に行き、気付いていない母親を前に、「ありがとう」と伝えます。聞こえていないけど、咲太は何度も繰り返します。それから、病室を後にしようとしたとき、母親は、「咲太」と呼びました。そして、

 

 「うちのお兄ちゃんが、咲太でよかった」
 「……」
 目頭が熱くなる。

 咲太が、感情的な思いをぶつける場面は、麻衣に告白したとき以来のような気がします。咲太もどこか達観していても、ちゃんと高校生らしいことしてますね(笑)

 

蛇足的な感想

  大学生編に突入しましたが、波乱の予感ですね。赤城郁美は咲太に想いを寄せているだけなのか気になります。どう展開していくのか気になるところです。

 

 是非、皆さんも手にお取り下さい。

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