三流大学、理系学生が読んだ書物を語る

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日常と変化~青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない~

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 今回は、『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』について、感想を綴ります。(注意:ネタバレあり)
 青春ブタ野郎シリーズの八巻目です。

 

前回までのあらすじ

  咲太は、様々な選択肢の中から、最善の選択をしました。麻衣がいなくなった世界で、絶望を知り、麻衣を救うことを強く決意しました。そして、翔子が生きている将来をどうにか描くことにも全力を尽くします。全員がハッピーエンドに近い選択を選び、はつこい少女との物語にピリオドを打ちました。そして、物語は日常を取り戻します。

 

「かえで」と「花楓」

「お兄ちゃんが行ってる高校に行きたい」
と、みんなの前で気持ちをきちんと告げた。


 ここから物語は進行します。花楓は、記憶を戻して時間がほとんど経っていないのに、現実を突き付けられます。中学3年生という、空白の2年間を埋めなければならない現実をです。精神的な(知識的な)ギャップや肉体的なギャップなど、とにかく多くの現実と向き合わなければならい。そんな中、いきなり「将来」について考えろと言われても困ってしまうものです。

 

 しかし、花楓は、過去の日記を見て、自分も頑張ろうと、「かえで」が残してきた意思を実現させようともがきます。その一つが、「峯ヶ原高校合格」です。
 個人的には、今回の話は、重いなと感じました。もちろん、前回までの牧之原翔子の物語も重いと思いますけど。未来で起こりうることに対して、過去から現在までの出来事に対処しなければならないからです。過去は変えられない、そして、その過去で起きたことのマイナス事象を「現在」対処しなければならない。確定した事実とどう向き合うのか…。

 

お気に入りの場面

「でも……みんなと同じがいいって思うのは、ほんとだよ」
ぽつりと花楓が想いを吐露する。


 この場面好きです。何だろ、著者が伝えたいことが凝縮されているのかなと邪推してしまいます。みんなと同じが良いってのは、「みんな」という実体の無い集合体から仲間はずれが嫌だと、言い換えられます。この気持ちって、誰でも抱くことです。

 

 「みんな」という実体の無い集合体からどの様にして脱却するのか、個人によりますが、花楓は、元不登校の天然アイドルの話を聞いたことで一歩を踏み出します。「みんな」とは違う道を選びます。
 鴨志田作品の面白いところは、登場人物が成長するところです。そんな「成長」を象徴する場面です。

 

 そして、もう一つお気に入りの場面

「バイトは?辞めちゃうとか?」

ロッカーの扉を閉めて休憩スペースに戻ると、朋絵は少し唇を尖らせた顔で咲太を見てきた。不機嫌なような、拗ねているような表情。

 めちゃくちゃ可愛いですよね。この後、咲太がバイトは辞めないって言います。そして、安心して笑うところも好きです。めちゃくちゃ可愛いと思います(笑)

 

蛇足的な感想

 花楓の物語は、収束します。「かえで」の夢を叶えることは出来なかったけど、花楓は、自分で歩き出しました。通信制高校に決めた時の場面は、ちょっと、ウルっときました(笑)
 そして、物語はまた動き出します。麻衣との待ち合わせ場所に行くと、麻衣が小さくなっていました…。
 次巻が早く読みたいですね。

 

 是非、皆さんも手にお取り下さい。


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