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大学生の理想的な生活~砂漠~

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 今回は、『砂漠』について、感想を綴ります。

 

はじめに

 著者は、伊坂幸太郎さんです。「アヒルと鴨のコインロッカー」「重力ピエロ」などで有名な方です。

 

千葉県松戸市出身。東北大学法学部卒業。この時期の東北大学には、薬学研究科に瀬名秀明、文学研究科に佐藤賢一、理学部に松崎有理と円城塔など、現在小説家として活躍している人物が在学していた。大学卒業後、システムエンジニアとして働くかたわら文学賞に応募、2000年『オーデュボンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。数年後に作家専業となった。宮城県仙台市在住。
出典:伊坂幸太郎 - Wikipedia

 

あらすじ

 北村は大学の新歓で陽気者の鳥井、小太りの西嶋、美女の東堂、シャイな南と出会う。どことなく、冷めた性格な北村は、新歓でも鳥瞰していた。鳥井に話しかけられたことで、思い描いていた学生生活が変わることを想像していなかった。麻雀したり、ボウリングしたり、青春を謳歌する中、事件に巻き込まれる。5人は、手探りながらも事件を解決していく。

 

登場人物が濃い

 「砂漠」は登場人物たちの個性が強いです。小太りで説教臭い西嶋は、典型例です。

 

「その気になればね、砂漠に雪を降らすことだって、余裕でできるんですよ」

 

 新歓で遅れて来たかと思えば、こんなことを言います。西嶋の良い意味でのヤバさが出ています。物語の冒頭でこんな強烈なキャラが登場し、物語が展開されます。西嶋のキャラが強すぎて、他の登場人物が霞んでしまう印象です。そんな中、もう一人の強烈なキャラが出てきます。

 

 ネタバレになってしまいますが、通り魔です。どことなくふらっと出てきて、場をかき乱します。特に、意味不明な言葉を言いながらです。

 

「大統領か、大統領か」

 

 通り魔がなぜこのように聞くのか分からないです。いきなり、北村を襲ったかと思えば、このような言葉を残して、場面からフェードアウトします。頭のネジが外れた強烈なキャラです。

 

お気に入りの場面

 1番好きな場面は、西嶋の登場場面です。特に新歓での語り出すところです。

 

「あのね、おまえたちね、信じられないかもしれないけど、ジョー・ストラマーもジョーイ・ラーモンも死んじゃったんですよ」

 

 こんな、意味不明な事を初対面の人たちに言ってのけてしまうのは、西嶋のキャラがなせる業です。ちなみに、これ以外にも意味不明な事を言います。そして、結局、言いたかったことは、「麻雀に負けた」ってこと。西嶋の面白さが好きです。

 

 学生生活のモラトリアム的な描写が多いですが、その中でも1番モラトリアムのような場面、物語の終わり、莞爾の一言です。

 

照れ臭そうに下を向く彼はどうにも彼らしくなかったが、しばらくして顔を上げ、「本当は、おまえたちみたいなのと、仲間でいたかったんだよな」と口元を歪めた。

 

 莞爾が、北村たちを羨む場面です。莞爾は、ムードメーカー的な描写があり、いかにも大学デビューな印象です。物語の途中、彼女がいるような描写もあります。大学生らしい生活を過ごしていたことが想像できます。実際は、遊ぶだけの友人関係しか築けなかったから本音をこぼしたのでしょう。

 

 後悔している莞爾がかっこ悪くもあるけど、素直に本音をこぼしたことが印象深いです。この人間味溢れている感じが好きです。

 

モラトリアム的な物語

 「砂漠に雪を降らすことだって、できる」という西嶋や傍観者の北村、クールビューティーな東堂、不思議な力を持つ南、チャラい鳥井、麻雀したり、ボウリングしたり、事件に巻き込まれたり、物語の中心にいる五人です。青春を謳歌していても、鳥井が怪我をしたり、西嶋が留年したり、モラトリアム的だと言えます。

 

 全てが上手くいくわけではない、楽しいことばかりではない。そんなメッセージを受け取れます。

 

蛇足的な感想

 大学生が主人公の物語は、面白いものが多いです。ドロドロした関係があるわけではないけど、魅力的な人物たちが物語を動かす。西嶋のような熱い男が、よく分からないことを言うところも面白く感じます。

 

 是非、皆さんも手に取ってみて下さい。

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