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この支配からの~少女は卒業しない~

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 今回は、『少女は卒業しない』について、感想を綴ります。

 

はじめに

 著者は、朝井リョウさんです。「桐島、部活やめるってよ」「何者」などで有名な方です。

 

朝井 リョウは、日本の小説家。岐阜県垂井町出身。岐阜県立大垣北高等学校、早稲田大学文化構想学部卒業。2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビューし、2012年には同作が映画化。
出典:朝井リョウ - Wikipedia

 

あらすじ

 廃校が決まった高校生たちの物語。卒業後の未来に不安を持っていたり、手の届かない好きな人に気持ちを伝えようとしたり、最後の卒業式の一日を7人の少女の視点から描かれている。連作短編集です。

 

卒業と廃校

 卒業と同時に、廃校になる高校が舞台です。卒業する少女たちは、どこか子供の側面を持っています。将来を見据えた漠然とした不安と迷いを持っている。誰もが抱えている問題、これから自分の意思で変えられる未来と「廃校」というどうしようもない決定された未来が上手く描かれています。

 

 卒業と廃校が同時に訪れる。そして、そこに7人の少女の感情が加わっています。それぞれ抱えている想いは違うが、卒業と廃校という事実が自分の感情と向き合わせます。

 

お気に入りの場面

 

私はこの春から、地元の国立大学に通う。英語教師が、自分の本当の夢なのかもわからないままに、進学する。だけどそれはきっと正しい。少なくとも、違ってはいない。私にとって、それが一番幸せなことなんだ。

 孝子はバックダンサーとして活躍している尚輝と比べて、未来に漠然とした不安を抱えています。その気持ちが現れているのがこの場面だと思います。誰もが同世代で迷いもなく結果を出している人に対して、自分を比べてしまいます。十代の気持ちがきれいに描かれているところが好きです。

 

「あたしは東京に行きたかったよ、ずっと。憧れてたの、ずーっと」

 寺田と付き合っている後藤が、別れを切り出す場面です。寺田は、地元の国立大学を目指して浪人、後藤は東京の大学に進学して心理学を学ぶ。二人の未来が交わらないことを自覚している後藤は、別れを切り出します。寺田は、それに返答することはないですが、花火が終わったら二人の関係は終わるのだろうと思わされる描写が印象深いです。

 

面白い

 「在校生代表」は「送辞」という形で在校生の岡田亜弓が、生徒会の先輩に告白します。何とも面白い内容になっています。口語体で赤裸々に気持ちを伝えているところが、可愛いらしくもあります。

 

私は、田所先輩のあのときの涙が忘れられませんでした。あのとき先輩が流した涙が、私の血管の中で流れているみたいでした。

 こんなにストレートな気持ちを言えてしまうのは、十代ならではの心理でしょう。無邪気な感じが伝わってきます。

 

蛇足的な感想

 廃校と卒業、どこか悲しいような虚しいような現実を少女たちが描かれています。華やかさと対称的です。十代の心理に共感しつつも考えさせられる一冊です。

 

 是非、皆さんも手に取ってみて下さい。

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