三流大学、理系学生が読んだ書物を語る

三流大学、理系学生が読んだ書物を語る

小説、映画、マンガ…etcについて徒然なるままに感想を書いてます。

MENU

青春はいいものだ~Just Because!~

スポンサーリンク

 今回は、鴨志田一の『Just Because!』について、感想を綴ります。

 

青春群像劇

 高校生活残り三ヶ月、中学生の時に福岡に引っ越したけど、大学進学を機にまた地元・鎌倉に戻ってきた瑛太。中学の時に好きだった美緒と再会して、それぞれの想いが、揺れ動く。受験、卒業、恋…、最高の青春群像劇です。

 

背景にあるそれぞれの気持ち

 鎌倉が舞台だからだろうか、描写がすらすらと入ってきます。これが我が故郷彩の国だったら瑛太が鎌倉に戻ってきた描写、どこか背景は、暗く、瑛太の冷めた気持ちとリンクしているように感じました。そして、陽斗と野球を終えて、「俺…告白してくるわ」って言って、走り出すシーン、ちょっと瑛太の気持ちが晴れたような、空模様。

 

 挙げだしたらきりがないので、ここまでにします。背景と心情を照らし合わせて見ると、面白いです。是非、注目してみて下さい。

 

瑛太が受験する意味

 美緒と一緒の大学を受験する意味って何だったのか、意外にもこれは、単純なようで複雑な心境の現れのように思います。陽斗は葉月に告白して、とにかく必死。美緒は、受験で目の前の事に全力投球。小宮は部活の存続のために奔走。

 周りの人たちの姿を見て、自分だけ、未来が確定している。そんな時、中学時代に折り合いを付けたはずの気持ちが沸々と出てきて、今の自分にできる選択をする。その結果が、「受験」。

 

 中学時代、中途半端な気持ちで、引っ越しをする。そして、福岡では野球をせず、普通の学生生活を過ごしたからこそ、受験する事にしたのかなと邪推してみました。

 瑛太は凄く繊細です。転校を中学の大事な時期に経験しているからなのだろうと思います。野球は中途半端、夏目に対する想いは中途半端、突然そうせざるを得ない状況になることを味わうってツライ。だから、「受験」をするのは当然なのだろうと感じます。

 

鴨志田作品の面白さ

 鴨志田先生が伝えたいものってきっと、さくら荘にしろ、この『Just Because!』にしろ、挫折感を味わうことの意味なのかと思う。自分の思い通りには、いかないけれどもひたむきにやる。結果が伴わなくても、それでもやり通す。そしたら、ちょっとしたご褒美があるかもよ~って言っているような、そんな風に感じる。

 

 二十代になると、十代のような目の前の物事に対して、あんなにも心動かしている余裕がないもの。目の前のやらなければならないタスクが増えて一喜一憂している時間がない。ある意味では、これが大人の一歩なのかもしれないですが。しかし、この物語に出てくる彼ら・彼女らは違う、ピュアだ。

 

 廃部に対して、無理やり実績を作ろうと必死になったり、告白するためにバットを振ったり、好きな人と同じ大学を受験したりと。これらがこの物語を「綺麗な物語」にしている要因なのでしょう。

 

お気に入りのシーン

 瑛太の、陽斗に対する対抗心。別に部活があるわけでもないのにランニングする姿は、「十代のモヤモヤ」ってこんな感じだったよなと思い出しました。

 

 また、葉月から好きな人を問われたところで

「あたし、ちゃんと好きな人いるから」

 笑顔で言おうとして……ちょっと失敗した。でも、それでよかったんだと思う。それがよかったんだと思う。思いっきり照れた顔をしたら、やっと彼女も納得してくれたから。

 美緒が陽斗に対して吹っ切れた感じが良いですね。個人的には、一番好きです(笑)

 

最後に

 瑛太は、夏目と同じ大学を受験して、合格をすることでしか告白ができないって、不器用過ぎませんか。それは夏目も同じですけどね(笑)

 こういうところから、瑛太と夏目がお似合いに思えます。青春群像劇は、大好物なので、とても面白かったです。

 

 最後に、鴨志田先生、桜の描写で終わるの好きだな(笑)

 ネタバレでごめんなさい。

 

 

 是非、皆さんも手にお取り下さい。

Just Because! (メディアワークス文庫)

Just Because! (メディアワークス文庫)

 

こちらもおすすめ

放課後あいどる (ガガガ文庫)

放課後あいどる (ガガガ文庫)