突然の目覚め~美しい星~

 突然、家族の誰かが『私は宇宙人だ』と言い出したら驚くことだろう。しかもそれが家族全員が違う星の生まれだという。最初はそんな馬鹿げたことと真に受けないはずだ。

 だけど、次の日には、兄弟が『私は宇宙人だった』といい、はたまた次の日には自分が『私は宇宙人だ』と自覚する。そして、最終的には、『我々は違う星の生まれの家族だが、地球を救う使命がある』と思い込み、生活の基準が地球救済だけになっていく。

 最初、三島由紀夫がこんなSFちっくなものを書いているとは、思いもよらなかった。SFなんだけども思想小説的なところもある。宇宙人の自我に目覚めた家族の生き方と悟ることで地球の日常を客観視している毎日。

 選民思想の愚かさと現代社会に対する批判が書かれている。この小説の面白いところは、最終的には個人的な問題が大きく自分の生活を支配していくことだ。父親の重一郎は病気のこと、娘の暁子は妊娠、一雄は親しくしていた人からの裏切り、母親の伊余子は重一郎の病気を家族の最後に知ったことの劣等感に近い敗北感。

 地球の救済どころか、個人レベルの問題に振り回されている大杉一家の面々。

 精神は、宇宙人どころか普通の人と変わらないところが面白い。

 

 結局のところ、人は些末なことに心が揺さぶられて、後から振り返ると人生に大きく影響していたりする。精神的に大人びている大杉一家はきっとその崇高な精神(自分は宇宙人という自覚)を持ってるから……

 きっと人生を楽しめていないことだろう。

 

 映画観に行きたいな~(笑)

美しい星 (新潮文庫)

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