三流大学、理系学生が読んだ書物を語る

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十年前の自分って?~拝啓、十年後の君へ。~

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 今回は、天沢夏月の『拝啓、十年後の君へ。』について、感想を綴ります。(注意:ネタバレあり)

 

はじめに

 著者は、天沢夏月さんです。「サマーランサー」、「七月のテロメアが尽きるまで」などで有名です。

 

2012年10月、投稿作「サマー・ランサー」が第19回電撃小説大賞で《選考委員奨励賞》を受賞。同作を改稿し、翌年メディアワークス文庫より作家デビューした。
出典:天沢夏月 - Wikipedia

 

あらすじ

 小学生の時、タイムカプセルに十年後の自分に向けた手紙を入れた6人の高校生の群像劇です。先輩との曖昧な恋愛関係に悩む千尋。部活から逃げた元サッカー部の冬弥。不良少年の優。高校デビューの美夏。引きこもりの時子。小学生の頃から想い続けている耀。今の自分への手紙が彼らを少しずつ変えていく。

 

手紙と心情描写

 十年前の自分は、小学6年生のサッカーボールを追いかけることに夢中になっていました。ただ、ただボールを追いかけていました。この物語に出てくる桐原冬弥の気持ちにちょっと共感してしまいました。過去の自分を見ているように感じました。

 登場人物の6人は、各々大なり小なり迷ったり、悩んでいます。そういう時に、十年前の自分から手紙がきて、それが励みになりまた歩きだします。

 十代の悩みやどこか不安定な思いを抱いている高校生が、立ち直ったり、前向きになったりするのは、読んでいてこちらも心が晴れてきます。手紙という形で、登場人物たちの心情の変化・成長が面白いです。

 

お気に入りの場面

 守屋時子の手紙より

そして、じゅうねんご、あなたはじぶんのうんめいをかえます。 

  手紙を読んで直ぐの心情より

十一年前のわたしは、そのときの自分がなにものにもなれないと諦めてしまってた

  この気持ちって誰しも抱くものですよね。個人的には、一番共感しました。誰でもこのような感情を抱き、高校生のときはちょっとしたことで心がざわざわします。そこに共感します。

 

 千尋と耀の会話より

「ううん。ただ、昔にもこんなことあったなって思って」

  千尋と耀の恋模様には、ドキドキしました。初恋が実って良かったですね。初恋は大体、実らないですからね(笑)

 綺麗な終わり方が好きです。

 

蛇足的な感想  

 内容は青春小説の醍醐味をふんだんに盛り合わせたようなものです。青春時代ってこんなに眩しいものだったかと思うってしまうほどに心を揺さぶられました。我ながら単純な心理をしていると思います。

 各登場人物たちが十年前を振り返って、心情が動く様子は、面白いです。 それぞれ、特徴のある人物たちが過去を振り返り、心情が動く。現状が上手くいってない時に過去の自分からの手紙を読む。そして、もうひと踏ん張り頑張ろうとなる。様々な感情が出てきます。十代の揺れ動く心情は読み応えがあります。

 

 是非、皆さんも手にお取り下さい。

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