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蹴られたい背中~蹴りたい背中~

文学

 なかなか背中を異性に蹴られことはないだろう。しかもそれが愛情たっぷりと詰まった蹴りをだ。

 

 

 にな川が長谷川さんに蹴られたみたいに僕もとは思わないけれど……、本当に思わないけれども、一度も経験しないのは何か損をした気分になる。愛情表現の下手さ加減が何とも絶妙である。長谷川さんみたいな人と付き合うのは大変そうだけど……。でも好き。

 

 

 周りの集団に馴染めない長谷川さんにモデルのファンにしてオタクのにな川、この二人が織りなす物語は冴えない者同士を慰めるでもなければ同族嫌悪を抱くでもない。と勝手に解釈している。単なる似たもの同士の共存のような気がする。

 「そうじゃなくて、なんていうの、私って、あんまりクラスメイトとしゃべらないけれど、それは”人見知りをしている”んじゃなくて、”人を選んでる”んだよね。」

「うんうん。」

「で、私、人間の趣味いい方だから、幼稚な人としゃべるのはつらい。」

「”人間の趣味がいい”って、最高に悪趣味じゃない?」

鼻声で屈託なく言われて、むっとなる。

「でもおれ分かるな、そういうの。というか、そういうことを言ってしまう気持ちが分かる。ような気がする。」

  以上の、長谷川さんがにな川のお見舞いでにな川家へ出向いた一場面からそう感じた。

 

 長谷川さんはめちゃくちゃ面倒な性格だけれども、「蹴りたい背中」で一番好きな人物。にな川はオタクっぽい幼稚な印象が自分を見ているようで好きになれなくて、長谷川さんの友達で小倉絹代は「みんな」とか「集団」を意識した生き方がイヤ。

 結局、ぼっちがイタイ方向に向いているような人が好きなのかもしれない。愛情表現が下手な人を可愛いと思えてしまう(小説の中only)。

 

 著者綿矢りさ先生が18、19の時にこれを書いたことには驚きです。すごいの一言しか言いようがないですね。最近は時間もあり、読書を思う存分しているのですがどうも青春小説に偏っている気が……。

 

何か他ジャンルで良いものはないだろうか……。