三流大学、理系学生が読んだ書物を語る

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ライトノベルが恋を結ぶ~下読み男子と投稿女子~

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 今回は、野村美月の「下読み男子と投稿女子」について、感想を綴ります。(注意:ネタバレあり)

 

はじめに

 著者は、野村美月さんです。『文学少女シリーズ』などで有名な方です。『下読み男子と投稿女子』は、読み切りのライトノベルです。

 

野村 美月は、日本のライトノベル作家福島県出身。東洋大学文学部国文学科卒業。
出典:野村美月 - Wikipedia

 

あらすじ

平凡な高校生の青は、実はラノベ新人賞の下読みのエキスパートだ。そんな彼は、ある日応募原稿の中に、同じクラスの氷ノ宮氷雪の作品を見つける。"氷の淑女"と呼ばれる孤高の少女が、フォント変えや顔文字だらけのラノベを書いて投稿している!? 驚く青だが、その後ひょんなことから彼女の投稿作にアドバイスをすることに。評価シートに傷つく氷雪をあたたかく導き、世界観、キャラ設定、プロットと、順調に進んでいくが……。
出典:「BOOK」データベースより

 

本好きな主人公

 下読みのアルバイトをしている青は、新人賞の応募作品を厳選しているとき、学校のマドンナの作品を読みます。そして、氷雪の作品作りを手伝います。王道的なラブコメストーリーです。

 

 本好きにはたまらない、アルバイトをしている青は、物語を読むことが好きです。それが、すごく伝わってくるのが、この一言です。

 

未完成の小説を読むことが、こんなにもわくわくして、楽しいことだなんて。

 

 本を読むことが好きな気持ちがすごく伝わってきます。青は、すごい特殊能力があるわけでも、何か特別な力があるわけでもないです。普通の本好きな高校生です。ただただ本が好きな青が、コミュ障な氷雪にアドバイザーとして、一緒に作品を創りあげていきます。

 

不器用なヒロイン

 氷ノ宮氷雪は、すごく不器用です。作品は、世界観、キャラ設定、プロットと、めちゃくちゃなモノを投稿していました。しかし、それは単なる氷雪が不器用だけだったのです。青と一緒に作品を創りあげていくうちに、氷の淑女は、祖母と向き合うようになります。

 

 不器用なところが可愛い氷雪です。そんな象徴的な場面がこちらです。

 

 青が二股かけられていると勘違いして氷雪が怒るところから

 

「わたしは嫌っ。風谷くんが、二股かけられているなんて……っ」
目に涙がじわっと浮かんできて、ここで泣いたら青を困らせてしまうと、氷雪は顔をそむけて、全速力で青から遠ざかった。

 

お気に入りの場面

 早速、印象に残っている場面を挙げていきます。

 

 水族館での氷雪の終始仏頂面であることを青に謝罪するところより

「そう……じゃなくて、わたし……クラスの人とお出かけするの、はじめてで……とっても嬉しくて待ち遠しかったのに……緊張して……。顔がこおばって……全然、しゃべれなくて……」

 「電車の中でも、風谷くんが話しかけてくれたのに、ちゃんと答えられなくて……風谷くん、居心地悪かった……よね……水族館へ着けば、なんとかなるかと思ったけど、やっぱり上手に話せなくて、わたし、ずっと黙ってて……」

 

 デート中に女の子からこんなこと言われたらもう好きになるしかないです。また、このセリフから氷雪がものすごく繊細であることが読み取れますね。そして、純粋な感じもしますね。

 

 おばあさんと喧嘩して家を飛び出した氷雪が青につれられて家に戻るタクシーでの描写より

――氷雪も不安そうに青の手を握り返し、ときどき消え入りそうな声で、「きっと、おばあさんは、許してくれない」「お母さんがお父さんと結婚して、わたしが生まれたことも、まだ許してないんですもの」「なにを言っても無駄だわ」とつぶやいていたので

 

 この守ってあげたくなる感じがいいですね。たまらないですね(笑)

 

蛇足的な感想

 この『下読み男子と投稿女子』は、読み易いので、直ぐ読み終える事ができました。甘酸っぱい青春が描かれており、『文学少女』とは違った面白さがあります。読み切りということで、一巻で完結している所も魅力的です。

 

 是非、皆さんも手にお取り下さい。

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