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パレード

今回は、吉田修一先生の「パレード」です。

この作品は、映画や舞台にもなっている作品です。

 

僕がパレードを読むきっかけになったのは、中学生の時に友達と渋谷に行った時にたまたま映画がやっていて観てみるか、みたいな中学生らしいノリで観たのがきっかけでした。

 

それから、原作を読みました。そして、DVDを何回も観ました。

はい、この作品めちゃくちゃ好きです。

 

 

内容としては、都内のマンションでルームシェアしている男女4人の若者に1人の若者が加わって、そこから物語が動き出して…。

 

 

取り敢えず、自分の好きな箇所をどんどん挙げていきます。

 

解説を書かれている川上先生とかぶりますが、良介と顔見知りの学生との会話より

「あのさ、とつぜんで悪いんだけど、お前の親父さんって何やっている人?」

「俺の親父?」

「そう」

「なんで?」

「別に理由はないんだけど……」

「公務員だよ、公務員」

「どこで」

「石川県の金沢」

そう答えると、男は首を傾げながら、教室を出ていった。……お父さん、とりあえず金沢の公務員の息子は確保しました。

 

これ好きです(笑)

 

良介が琴ちゃんに好きな人について相談しているところより

「俺さ、マジで好きみたいなんだよね、その人のこと」

「好きなの?好きみたいなの?」

琴ちゃんはいちいちヘンなところに絡んでくる。

「だらか『みたい』ってのは、照れだよ」

「良介くんって単純そうで、案外ややこしいのね」

「俺、単純そう?」

「だって未来とか直樹くんがそう言うもん。……ま、それはいいんだけど。とにかく、マンションの周りなんかうろうろしていないで、きちんと玄関のチャイム押して告白すれば?」

「なんて?」

「だから、『俺、あなたのことが好きみたいなんです。この「みたい」っていうのは照れなんです』って」

「告白ねぇ…。やっぱ無理だよ。だって先輩の彼女なんだよ」

 

 良介がすごく繊細なんだなって伝わってきますね。好きな人に好きって伝えられない良介が可愛く見えます(笑)

 なによりも、先輩の彼女の部屋での朝起きてからの良介の一連の描写がとても美しい(人間味溢れている)なって思いました。

 

呆然とする姉弟の前で、ぼくはまだ泣いていた。涙が溢れて止まらなかった。まるでじぶんとは完全に切り離されたもう一人の自分が、当のぼくを無視して、勝手に泣いているようだった。

 

次に、未来と直樹がサトルについて話しているところより

お前が知ってるサトルしか、お前は知らないんだよ」と言う。

「どういう意味よ」

だから、お前が知ってるサトルしか、お前は知らないわけだ。同じように俺は、俺が知ってるサトルしか知らない。良介だって琴ちゃんだって、あいつらが知ってるサトルしか知らないんだよ

 

お前、マルチバースって知ってる?

「知らない。何、それ」

じゃあ、ユニバースは?

「宇宙でしょ」

そう。一つの宇宙ってこと。で、マルチバースってのは、いくつもの宇宙って意味

「ふ~ん」

 

  このやり取りから直樹の世界観が見えてきますね。

 

 また、直樹が子供の時に父親と一緒に観た映画の帰りより

この映画を観た自分が、怒っているようでもあり、哀しんでいるようでもあった。ただ、その怒ったり哀しんだりしているのが、本当にじぶんなのか――、たしかに今、自分の身近にあるこの怒りや悲しみが、一体誰のものなのか――、それがまったく分からなかった。

 

  この気持ちには、共感しました。子供の頃はこんな思いを抱いたことあったな~って思い出しました。

 

 

 そして、最後のサトルに犯行現場を目撃されて、部屋に戻ってからの直樹より

たとえばこの世界に、もう一つ東京があったとしたら、そこであの女が倒れているのだとしたら、俺はきっと、すぐにでも彼女を救いに行ける。

 直樹がもがいていることがよく分かる心情ですね。

 

なんといっても、この後のラスト数行が衝撃的でもあり、余韻が残りました、…っえこれで終わり!?が初めて読んだ正直な感想でした。自分の中でこの物語が終わってないから、何度も映画を観たり、読み返したりしているんだろうと自己分析しています。結局、『あなたがこの世界から抜け出しても、そこは一回り大きな、やはりこの世界でしかありません……』が当てはまります。一度は自分なりに物語が終焉をむかえて、『――。』と終わるのに、少し時間が経つとそのまた先に文章があるような気がしてしまい、気がついたら手にとっている状態です。これは、中毒ですね(笑)

 

 

未読の方は、是非、お読みあれ!!